年齢と経験を経るごとにギター音楽に対する感覚、好みも変化していきます。近年、自分が感じる大きな違いと言えば、派手なテクニックなどに全く興味を引かれなくなった、ということです。昔であれば「負けてられない!」と刺激されたり「俺もやってやる!」と更に練習に気合が入ったりしていましたが、63歳の今は「メロディー」と「ギターの音色」、「音の表情」、「間」、それを支えるアレンジなどに重きを置くようになってきています。端的に言うと、必要な個所に必要なことをやる、という無駄を省いた感じでしょうか。
もちろん、テクニックは重要ではないというのではなく、あくまでも、表現を「支える」ものでないといけない、と思うのです。よって、表の存在ではなく、裏の存在。だから格好いい、と。昔の人は、スーツの上着の裏地に凝ったようです。見えない部分なのですが、これは隠れた格好良さを追求する一例かもしれませんね。
ただ、一方で、ことギター音楽に関しては、派手なテクニックがウケるのも事実です。ビジュアル的にもアピールしますし。この点は、ギタリストの葛藤の要因ではないでしょうか。「表現とか言っても、やっぱり派手さには勝てない」と(笑)。ギタリストも十人十色ですから、様々な考え、アプローチがあるのは当然ですが、僕の場合、どれだけ自分の音が聴き手の心に届くのか、心を動かすのか、が大きなテーマとなっています。が、これは「頭」ではなく「心」に関することですから計りようがありませんよね。加えて、演者が「今から心を込めて演奏します」と言っても意味がない!? あくまでも「言葉」ではなく「音」が主役ですし、ライヴ空間に音が流れていても「無言の会話」な訳ですから、インストの場合。
僕のオリジナル曲に「♪心の声を聞かせておくれ」というのがありますが、これは、リスナーの皆さまの心模様を覗いてみたい、という意味合いもあるんです・・・ということで、これからも「無言の会話」を楽しみたいと思います!
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