「70歳まで現役でやる」と決めたとすると、1年に1回しかライヴをやっていない場所へは「あと、たった5回しか行けない」という事実に、改めて、限られた時間のことを痛切に思い知らされます。同時に、自分の年齢に近い方々の訃報に触れる度に、残された時間に対しても同じ感覚を持ちます。ゆえ、これからは、1本・1本のライヴの「質」に、よりこだわっていかねば、と自分で再認識している次第です。
ライヴの出来に関しては、少しでも「自分の理想の領域」に近づきたいという思いが、歳を重ねるごとに強くなってきております。この「理想の領域」とは、音数に左右されず、聴き手の心の奥底まで入っていける演奏・音質・音色、というところでしょうか。よりカッコよく言えば、たとえギター1本のインストでも、「歌を聴いているようだった」とか「歌詞がないのに歌詞が聞こえた、絵が見えた、浮かんだ」とか、そういう反応がいただけるような“感情を刺激し動かす演奏”ということになるかと思います。ですが、そう判断するのは、あくまでも受ける側の聴き手であって、送る側の演者ではありません。そこには、常にズレがあって、一致することはないかもしれません。かと言って、演者が一方的に理想を追いかけ過ぎてもよくないですし、共鳴できる部分さえあれば「よし」としなければいけないんでしょうね(笑)。
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