もうすぐ、また1つ歳をとります。若い(!)と思っていた自分も56歳・・・いよいよ還暦へのカウントダウン。思えば、年齢的には孫が2~3人いても全くおかしくないんですが、なぜか、僕は1人のまま(笑)。が、ギターとはラブラブの関係が続いていて、“離婚”の可能性はゼロ! それどころか、日に日に愛情は深まるばかり・・・
で、好きなことを本職としてメシが食える、という事実はすごく有難く幸せなことなんですが、時々、「自分のやりたいことをやるために、これまでどんな犠牲を払ってきたんだろう?」と、ふと考える時があります。まぁ、肝心なのは「今」であって、過ぎ去った「昔」ではないんですが、「もし、あの時・・・だったら」と思考をめぐらすのは悪いことではないですよね。人生の節々での出来事が「今」へと線でつながっているわけですから。
僕の人生の1回目の節目は、高校を卒業して百貨店に就職した時。そして、次は、10ヵ月後に退社した時。それが「シグナル」というグループとのめぐり逢いにつながります。そして、昭和50年9月21日のデビュー(ポリドール)。8年後の解散。そして、フリー・ミュージシャンとして食えない日々、四畳半のアパート生活・・・
そんな中、一番の出来事は、40歳になった時にオーストラリアへ移住した時。これを機に「ソロギター」に目覚めたことが、以後の僕の運命を決めることになります。異文化での生活の中で、ここまで「反骨心」を植えつけられるとは思ってもいませんでした。最大の理由は、とにかくナメられっぱなしの日々ゆえ、です。英語では子供にも勝てず、日本人(というよりアジア人)ということで差別されたり・・・具体例をあげると、スーパーのレジで僕の番になったら、担当の女性(男性も)の態度が豹変したり(白人には白々しいほど優しい!)、レストランで注文したものが、あからさまに出てくるのが遅いとか、バーのカウンターで無視されたり、車に乗った不良連中に追いかけられたり、唾をかけられたり、犬と散歩していて水をかけられたり・・・など等。あと、やっとカフェとかで演奏ができるようになってからも、お店の人から「リスペクト」を勝ち取るのは非常に難しいことでしたし、ウエイトレスにもナメられっぱなし。とにかく、悔しさを誘発させる出来事の連発でした。「どこの誰やともわからん無名ギタリストやし、しょうがない・・・」と小さく心でつぶやくのがやっとでした。
ただ、誤解のないようにしておきたいのですが、上記のようなヤカラは1%くらいで、99%のオーストラリア人は優しく、温かく僕に接してくれましたし、思い出の大半は良いものです。ので、余計に、1%から影響を受けたということも言えますが(笑)。
そんな悔しい日々の体験から「いつか、見返してやる!」という感覚が体中に芽生えていきました。まさに、マンガのひとコマのように、目がメラメラと燃えていたと思います(笑)。いま振り返ると、人を憎むというより、「自分のギターでなんとかしてやるっ!」という方向へ向いたのは、我ながら好かったと思っています。だから、その時の僕の燃え方(=ギターの練習量)は、異常なものがありました。当時の自分の感覚としては、切り立った崖っぷちにつま先で立たされ、10人くらいのヤカラに「ほら~、落ちな。落ちなよ」と小バカにされながら、懸命に耐えている感じ。だから、自分に残された選択肢は「やるしかない!」ということだけでしたし、ものすごい緊迫感を味わっていました。
この期間が、僕の現在のソロギターの背骨になっているのは間違いありません。加えて、「耳コピ」を通して(譜面は苦手!)多くの貴重なものを体得しました。逆に、失ったものと言えば、オーストラリアへ行くときは2人だったのですが、帰りは1人だった、ということかな(笑)。
今は、過去の出来事に対して「感謝」の気持ちしかありません。まさに僕の好きな言葉「経験に無駄なし」そのもの。これからは若い時のように無茶はできませんが、チャレンジ精神だけは忘れずに精進していきたいと思っています。1つ年齢を重ねることで、ひょっとして失うことがあるかもしれませんが、一方、それを上回る何かを得ることもできるはずだから!
ひと足早いですが、誕生日前にひと言・・・これまで直接・間接的に応援してくださったファンの皆さま、スタッフ・関係者の皆さま、本当にありがとうございました! 今後とも、どうぞ、よろしくお願いいたします。
よし、音楽で一生青春だ~!.
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