最近、ギターコンテストの審査員などでアマチュアの方々の演奏を聴く機会が増えたんですが、思うに、技術に関しては感心することが多いんですが、肝心の「表現力」という点では一様に劣ってしまうんですよね。この点は経験不足が主な理由なんでしょうが、それよりも「ダイナミックス」の欠如が大きいと思うんです。演奏が全体的にフラットなんですよね。悪く言えば、能面のような感じで、感情の起伏が見えないし伝わってこないんです。僕としては、途中で間違うとかは問題ではなく(そこからの立ち直り方は見る)、その人の感情の動きが演奏を通してこちらの胸に響くかどうか、そこが重要なんですよね。求めすぎかもしれませんが・・・。
「ダイナミックス」といっても、単にビートの強弱の繰り返しではなく、大げさに言うと、感情の起伏(起承転結)から生まれる「魂」の対話のことなんです。僕は、そう思うんですよね。演者+ギター+客席の一体感、空気感。すべてを含んで「ダイナミックス」と呼びたいんです。しかも、それらをコントロールするのは演者以外に考えられません! つまり、演者はコンダクターでもあるんですよね。お客さまがメンバーで。「ソロギター」の面白さは、そこにあるのかもしれません。たった一人、一本のギターで、すべての舵を取ることができるわけですから。
最近とくに感じるのは、自分自身とギターとの一体感。ようやくここにきて、身体(心)の一部になった気がします。表裏一体。鏡のような存在。言い換えれば、自分が持つ感情の範囲内でしかギターは応えてくれない、ということ。当たり前ですが。だから、どっちに転んでも、感情を隠すことができないんですよね。すべて音となって現れるから。
僕は、亡きレイ・チャールズの魂の歌声を崇拝しています。歌詞の内容が分ろうが分るまいが、とにかく心の奥深いところに伝わるものがあるんですよね、文句なしに。おこがましいですが、そんなギターを弾いてみたい、と強く思う今日この頃です。
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