ドイツ・ツアー記 (2)

10月31日(金)】「オープン・ストリングス・フェスティバル」初日。ホテルの周りが静かなことと、長い移動で疲れていたこともあって、さすがによく眠れた。朝食付きということで、まずは1Fへ。なんと一番乗り! いい感じのおばあさんが笑顔で迎えてくれた。英語が通じない(当たり前)・・・でも、「ダンケ・シェン」(ありがとう)さえ言えれば問題なし。ハム、ソーセージ、チーズ、ゆで卵、ジャム、パン、フルーツ、ヨーグルトといったメニューでしたが、初日なのでおいしく食べれました。この後、毎日、同じメニューが続くことになるのですが・・・(笑)。

朝食後、ホテルの周りを散策。町並みがいい感じ。ベンツとかBMWの高級車が多く行きかう。寒~い。息も真っ白。所々でフェスティバルのポスターを見つけて、ちょっといい気分に。もちろん、カメラに収めました。ホテルの部屋に戻って、少し練習。周りの部屋からもギターの音が聞こえてくる。フェスの出演者かな。じつは、この時点で、まだスケジュールを知らなかったし、主催者でもあるピーター・フィンガーとも話していなかったんです。当然、相手も僕が無事に着いたかどうかも知らない!? ので、Acoustic Music Recordsへ電話。そこでピーターの携帯番号を聞いて、ようやく彼と連絡が取れ、15:00に迎えに来てくれることに。その前に、散策中に見つけた中華料理店でランチ。当然のごとく英語が通じない。汁もののラーメンを注文したつもりだったけど、焼きソバが出てきた。まぁ、ええか~(笑)。すごい量~!

15:00、時間通り、ピーターが自家用車で迎えにきてくれた。顔をあわせるのは、今日が初めて。でも、なぜか、初めて会ったような気がしない。ほどよく会場に到着。けっこう大きなホールで、まだ各ギター・メーカーの展示会場のほうの準備は進行中。リハは順調に終了。音量がホールの割りに小さかったのが気になりましたが、まぁ、現地のやり方に合わすのが一番かな。そう、「郷に入っては郷にしたがえ」か。本番は、ピーターの心遣いもあって、トリをつとめることに。僕的には何番目に演奏しようが気にならないのですが、でも気分は悪くなかった(笑)。が、ステージに出たら、なんと、椅子も変わってるし(リハより少し高い)、座る位置(モニターから遠い)も違うじゃないですか~。 それに、録音用の2本のマイクの位置が、演奏の邪魔になるようなところに立ってる・・・ん、けっこうツラかった~。でも、「プロは文句を言わず、与えられた情況で最高の仕事をする」ということを自分に言い聞かせながら頑張りました。お客様の反応は、アメリカのような直接的なガツ~ンというのはないけれど、静かに聞いてもらえたし、拍手も一杯貰いました。

この夜は、僕の他に5人のギタリストが出演しました。全員、個性のある素晴らしいアーティストでしたが、特に印象に残ったのは、カナダのRyan LeBlanc と南米はチリのAndres Godoy。ライアンは、まさにワンマン・バンド状態で、ハーモニカ、カホーン(箱みたいなパーカッション)、ギターを一緒に演奏するという離れ業が目をみはりました。カホーンに座って右手で叩く、そして、ギターは左側に立てて左手だけで弾くというふうに。一方、アンドレスは、事故に遭って右腕を完全に失っているのですが、ギターを左側に立てて、左手だけで演奏するというスタイル。もう、見事と言うしかなし! 他のギタリスト(イタリア、フィンランド、フランス)も「ただモノではない」人たちでしたし、そんなアーティストと出会えて、触れ合えて、ほんとうに嬉しい一夜となりました。部屋に戻った時、25:30でした。

頭の中でギターの音が交差しながら眠りにつく・・・

つづく

ドイツ・ツアー記 (1)

ん~、久しぶりによく眠れた~。やっぱり、畳の上やないとあかん! それと、米がおいしい! ハム、ソーセージ、肉類、チーズ、ピザ、パン(しばらくは「禁句」)の連続やったから、和食はこの世のものと思えんくらい、う・ま・い! これも、しばらく離れていたお陰で、普段だと当然のものと受け止めていて、特別な感動を感じないものなのかもしれないなぁ。食事面のみならず、やっぱり、何でも距離感が大切ということか・・・とくに海外遠征は、確かに体力的にはキツイけど、色々と考える材料を与えてくれるから、その点でも良かったと思いますねぇ。そうそう、「おかえりのメッセージ」ありがとうございます! 待ってくれている人たちがいるということは有難いこと。疲れも和らぎます。

さて、前置きはこれくらいにして、ツアー記へといきましょう。今回も日記を基に書き綴っていきますね。しばし、お付き合いくださいね。

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10月30日(木)】関空へ向け、新大阪駅発7:17分の「はるか」に乗る。早朝にもかかわらず、関空は円高のせいか、けっこう込み合っていた。早速、ルフトハンザのカウンターへ。いつものように通路側の席が取れたまではよかったけど、なんと、荷物の重量オーバー(12Kg)で、4万円を超える超過料金を請求される!? 1キロごとの追加料金システムらしく、しかもフランクフルトまで長距離ということで、もう払うしか方法はなく、なんとも気が重いスタートとなりました(笑)。そして、機内での「フランクフルトまでの飛行時間は約12時間20分です」のアナウンスにノックアウト・・・長いのは分かっていたけど、これには「フ~」とため息が。よし、ビールでもということで、ビールをお願いすると瓶で出てきた。缶でないところにドイツ人のビールのこだわりを見た気がしました。少し苦めでおいしかったなぁ~! 機内の気圧とかを考えて、アルコールはこの1本だけにしておいた。先は長いから!

予定より少しだけ早く(15:00)フランクフルト空港に到着。気温は5度で小雨。寒いところを飛んできたということで、なんと、飛行機の一番前の出口が凍って開かないというアクシデントがあったけど、急いで出口へ向かう。税関では何も聞かれず、いい意味で、気楽でよかった。最後の出口の要申告・申告なしのゲートには係員が一人もいなくて、放し飼い状態。アメリカと比べると、かなり“自由”な感覚がして、なんともいい感じ(笑)。その足で、目的地のオスナブリュックに電車で向かうため、DB(ドイツのJRみたいなもの)のインフォメーション・センターへ。そこで、電車のスケジュールと一番良い行き方を聞いて、さっそく長距離列車(ICE=ドイツの新幹線)のプラットホームへ向かう。乗り継ぎなどの情報をプリント・アウトして貰ったので(ドイツ語ですが)、それを見ながらの移動となる。時間的には正確で、ほぼ日本と同じ感覚。ただ、電車はすごく混んでいて、乗り換え駅のドルトムントまで、そして、そこから乗り換えてオスナブリュック行きの電車までも満員で座れず、ずっと通路に立ったり/座ったりして行くという状態でした。キツかった~。でも、電車内、プラットホームとも無駄なアナウンスがなく、すごく静かなのが良かった。まぁ、乗り過ごさないように注意は必要ですが。

オスナブリュックに19:21着。ドイツでの最初の買い物はミネラルウォーター。けっこう高い感じがした。タクシーでホテルへ向かう。石畳の路地にある小さくて可愛いホテル。チェックイン後、そく「バタンキュー」で寝てしまった。長~い、長~い一日の終わり。

つづく